「2025年の崖」の崖っぷち
ゴールデンウイークも終わり、気分も新たにお仕事に戻られている方も多いかと思います。
ただ、システム障害やプロジェクト遅延などのニュースも目立つ昨今です。
現場に携わる関係者の方々は、くれぐれもお身体を壊さぬよう願っております。
中でも目を引くのは、江崎グリコ社のSAP移行失敗で日配品が販売停止に追い込まれた件と、「官製デスマーチ」と揶揄されるガバメントクラウド移行です。
プッチンプリン出荷再開を延期 グリコのシステム障害(日経:5/1)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF012CE0R00C24A5000000
官製デスマーチがやってくる、全国の自治体やベンダーが証言するシステム移行の実態(日経XTECH)
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/02820/042400001/
グリコに関しては、チルドの日配品が全滅。5/1のプレスリリースを見るに再開の目処が立っていないとのこと。
2023年12月期末決算説明会の資料を見ると、ERPシステム投資額の総額が記載されています。
合計340億円とのことで、年商3500億、営業利益190億の会社規模ですから、かなりの大規模投資と言えます。
https://www.glico.com/jp/company/ir/library/presentation/
またガバメントクラウドへの移行に関しても、予兆はすでに「e-Govの移行作業が延期」にもありました。
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/news/24/00181/
思い起こされるのは、経産省のDXレポートで提唱された「2025年の崖」です。
SAP R3からS4/HANAへの移行期限が2025年(後に2027年に延長)であったり、ガバメントクラウドへの移行期限も2025年です。
「2025の崖」は、予想されるIT人材の引退やサポート終了などによるリスクの高まりで、業務基盤の維持・継承が困難になる可能性が指摘されていたわけですが、まさに顕在化した一例でしょう。
ガバメントクラウド案件に関しては1700自治体、各20システムの一斉移行という大プロジェクトですが、人材不足に加えて一部の標準化基準が4/24にも改訂されるなど、現場の対応が大変そうです。
上記の他にも様々なシステム移行案件が動いており、いろいろな情勢に翻弄されているかと思いますが、関係者の方はくれぐれもご自愛ください。