「自由なソフトウェア」の理念
先週、いろいろとIT関連のニュースを見ていて気になったのは、OS関連のものでした。
1つはWindows 2012/2012R2のサポート終了がいよいよ2023年10月に迫っているというもの。
こちらは比較的現場でも良く使われていたOSと記憶していますが、数年前から移行が推奨されていたものです。
もう一つはRed Hat Enterprise Linux(RHEL)のソースコードが限定公開に変更になった件です。
以前にもポリシーの変更を受けて、互換ディストリビューションであるCentOS Linuxの開発が終了するといった影響がありました。
CentOS8はすでにサポート切れとなり、CentOS7は来年2024年6月末でEOLです。
現在ではFedoraや関連ツールのいわゆるアップストリームのリポジトリからCentOS Streamで動作検証され、商用版であるRHELのリポジトリに反映されます。
そしてダウンストリームの CentOSやRHELクローンのディストリビューションに反映されるといった構造になっています。
今回のRed Hat社の発表は、RHELのコードを契約している企業に限定するとのことで、クローン・ディストリビューションの開発に影響を及ぼす可能性があります。
ただ開発者向けのプログラムも用意されているため、技術的な面での影響はほぼ無いと言っても良いと思います。
反発しているのは「自由なソフトウェア」の思想・理念への反発ととらえられているためであり、さかのぼればリチャード・ストールマンが提唱したGNUプロジェクトに行きつきます。
この「自由=フリー」の概念には、ソフトウェアを利用する自由、改変する自由、複製する自由、頒布する自由などのさまざまな自由が含まれており、これらを保護する”GNU GPL”というライセンスの元に配布されています。
コードのリポジトリへのサクセスに制約を設けることで、「ソフトウェアの自由さ」を重視するコミュニティーから反発を招きます。このようなケースでは過去にも結果的にプロジェクトの崩壊、別製品への分岐などをもたらしてきました。
Red Hat社がサポートを提供し、それゆえに互換OSが重宝されて利用者も増えるという、相補的な関係性にあったと思います。
利用者側目線でも、ある種の業界標準のような位置づけで使い勝手はよかったわけですが、ここ最近、そういったバランスが崩れかけているようにみえます。
サポートしないといけないLinuxディストリビューションが増えるのは、サービス運用者としては面倒なだけなので、これ以上状況が悪化しなければといいなと思います。