業務属人化の是々非々
自動化ベンダーの立場からは、業務の自動化のメリットの一つとして属人性の排除をあげています。
特定の業務が特定の人のみが対応しているという状況は、リスクと向き合うシステム運用という業務において、その人がいなくなった場合のリスクを考慮しないといけません。その人こそがSPOFになるわけです。
とはいえ、属人性の解消を語る上では、その属している人と、マネージメントの2つの立場から見る必要があります。
作業者の立場からは、自分を取り替えても業務が回るという事は、雇用の安定性の面からはあまりうれしい事ではありません。
慣れた作業から引き離されて、なじみのない他の業務に移される可能性もあります。
責任感の強い人であれば、自分が病気などで長期離脱を余儀なくされる場合に、仕事に穴が空く事を心配するかもしれません。
また企画的な仕事であれば、その人の個性・スキルそのものが重要になる場合もあります。
スキルが高いがゆえに任されている仕事の場合もあります。
自分が見た属人化解消の例としては、昔の同僚で実家が町工場。バイト仕事でそこの職人さんの機械を扱う操作を自動化したというのです。
工作機器を調査した時のタイミングとダイヤルの数値をデータ化し、それに合わせて機器を操作するようにしたそうです。
後継者もなかなか確保できない昨今、「このデータだけは絶対に無くすな」と言い残してきたという事です。
マネージメントの視点からは、属人化の排除はメリットだけです。担当者を入れ替えても業務が継続できるというわけですから、願ったりかなったりです。
サステナビリティ経営と言いつつ、人がいなくなればアナログ知識は消滅するわけです。
個人に蓄積された技・スキル・経験値・方法論をデータとして残す重要性を理解できない企業は淘汰されている方向かと。
システム運用の現場では、さすがに一人のスキルフルなエンジニアに合わせてシステム運用を設計するといったことは無いと思いますが、
一方で「一人情シス」などという言葉もあります。
現場やプロジェクトのリスクの許容度にもよりますが、属人性排除の方向で、うまく自動化ツールを使っていただければ幸いです。