2022/08/10
医療逼迫と業務改善
コロナの第七波の真っ最中ですが、いかがお過ごしでしょうか。知人にも感染したという人が相当数出ていますが、今のところ、症状が重くなったという話は耳にしていません。ただ、私も家族の骨折の通院でコロナ病床のある大きめの病院に行きましたが、救急車がひっきり無しに到着している様子を見て、これはただ事では無いと実感しています。
TV報道でも発熱外来が逼迫している報じられ、国も未症状や軽い症状の場合には自宅療養を推奨するようになりました。ここまで病院の業務が逼迫しているのは、発熱患者が殺到していることに加え、診察後の事務処理の負荷が大きいという点も指摘されています。
医療機関ではコロナウィルスの検査で陽性診断された場合、複数のシステムに患者情報の登録が求められます。
・”HER-SYS”:厚労省の感染者情報把握・管理支援システム
・”G-MIS”:医療機関等情報支援システム(検査件数把握システム)
・都・地方自治体の検査件数把握システム
少なくともHER-SYSに入力されないと、患者への行政からの支援や事務手続きが遅れる場合が生じたり、接触確認アプリCOCOAへの登録も出来ません。しかしながらHER-SYSは疫学調査のデータ収集という観点もあって登録項目が50近くあります。入力負荷が大きい上、システムがしばしばダウンする事もあり、評判がよろしくありません。
これらを業務改善の視点で見ると、いろいろな所に改善の余地が見えてきそうです。全体最適を考えるならば、情報入力の一本化や入力項目の簡素化などがあります。項目数に関しては軽減対応が進められているようですが、多重登録問題や通知FAXの転記処理など多くの業務に改善の余地がありそうです。
医療機関側でもカルテや診療管理の電子化が進んでいますが、うまく登録業務に繋げられないところにボトルネックがありそうです。
一方、これらの情報を利用する側の保健所の業務は、自治体にもよりますが、当初の人海戦術からの脱却が進んでいるようです。陽性者への聞き取り調査や就業制限通知書、入院勧告書の発行、公費負担の事務処理等など、「発生届」をトリガーにして多くの業務が発生します。業務整理やシステム化を行うことで、初期の頃の数分の一の人数で同レベルの業務をさばけるようになっているという事例も出てきています。
初期の大混乱の時期からは、かなり洗練されてきているとは言え、業務に影響が出るレベルのボトルネックが存在しているわけですね。DX推進の掛け声とともに業務のデジタル化をプッシュされてきましたが、行政側のシステムもどんどんアップデートしていって欲しいところです。