メタバースに未来はあるか
こんにちは。フィックスポイントの冨です。
フェースブック社が「メタ(Meta)」と社名を変更した前後から、メタバース(巨大仮想現実空間)に関する議論が活発になってきました。利用シーンから実装技術、ビジネス面での可能性など、いろいろな意見が交換されています。
日本発では、今年の7月に公開された映画「竜とそばかすの姫」では自分のアバターが「U」と呼ばれるメタバース的な世界で活動するシーンが印象的でした。またオンライン版「ファイナルファンタジー」や「集まれ動物の森」など、自分たちで世界を構築・生活を楽しむゲームがヒットしましたし、海外勢では「マインクラフト(Minecraft)」「フォートナイト(Fortnite)」「ロブロックス(Roblox)」「イングレス(Ingress)」などは数億のアカウントを運用している大ヒットゲームです。マニア向けでは「neos」のような3D箱庭のようなサービスもあります。
このようにアミューズメント領域ではメタバース的な世界観を持つアプリケーションの成功例も出てきています。
ビジネスでのユースケースの例としては、Facebook自身も「Horizon Workrooms」というオンラインVR会議サービスを発表していますが、まだまだこれからでしょう。弊社でも以前に3Dゴーグルでデータセンター業務の作業支援を行うイメージを作成しましたが、実用化はまだまだです。
「DXの次はVX(Virtual Transformation)だ」といった意見も出るようになり、過熱気味な3DVR/メタバース界隈ですが、一方でかつて話題になった「セカンドライフ」を覚えている人は仮想世界のビジネス展開には懐疑的な人も多く見られます。例えば、コロナ禍で運用変更を余儀なくされている各種展示会に関しても、3DVRを用いて実際の展示会場を再現しようとした試みも見られましたが、個人的には逆に操作が面倒なだけでした。VR会議室も臨場感の演出というよりは、かえって議題から注意を削がれるだけに感じます。
賃貸不動産の内見サービスなど、上手く3D技術を取り入れている例もあるので、これからいろいろなサービス提案が出てくるのでしょう。
「DX」という言葉の賞味期限が切れつつある昨今、新しいIT業界バズワードとして「メタバース」に飛びついている状況にも見え、まだまだ見極めが難しい段階ではありますが、システム屋としてはAPIを通じたメタバースから現実への干渉や仮想世界での商行為など様々なビジネスシーズが存在しているので、少なくとも枠組みだけでも知っておく必要はあると思います。