オンプレ回帰とクラウドのTCO
最近、ネットを眺めておりますと、「クラウドからオンプレに戻す動きが顕著になっている」ことに関する是々非々に関する意見が飛び交っておりまして、なかなかに面白いなあと興味をもってウォッチしております。典型的なのはこのあたりの記事でしょうか。
クラウドに移行→オンプレミスに戻す、なぜ広まる?自前サーバへ回帰の理由(Business Journal)
https://biz-journal.jp/it/post_380059.html
中小企業レベルではIaaSからSaaS含めて、おおよそ2割近くがオンプレに戻しているという分析です。
戻す理由としては①コスト、②パフォーマンス、③セキュリティーです。
どれも良く耳にする理由ですが、①に関しては円安の関連もあり直接のキャッシュアウトを見れば、影響受けている会社も多いのでないかと思います。③についても、とにかくクラウドにデータを置くこと自体がNGとされる方もおられます。
個人的にも自分がPMとして1年近くかけて導入したオンラインの会員管理システムが、引き渡し後、クライアント側の後任のマネージャーが全部解約したという話を聞いてびっくりした経験をしております。オンラインでの会費の決済などもNGで、全て郵便局口座への振り込み対応という事で、極端にリスクオフ志向の方だなあという印象を持ちました。まだまだクラウドに対しての忌避感の強さを感じます。
逆の規模感を持つ、ガバメントクラウドに関しての意見も目立ちました。
読み応えがあったのはミック氏(@copinemickmack)による3本の記事です。
米国連邦政府におけるクラウド戦略「Cloud First」の失敗と教訓
https://note.com/mickmack/n/nb7490866166c
かける予算から人材の厚みまで、日本とは段違いのリソースをかけてクラウドシフトを進めてきた結果、当初計画よりもクラウド化が進まず、セキュリティー維持にも大変苦労していることが見えてきます。なんだかんだハイブリッドクラウドに落ち着きそうな勢いです。日本でもガバメントクラウドの話がようやく進み出した感もありますが、この先どのような進展をみせるかは興味深いところ。
余談になりますが、ペンタゴンのインフラ自動化の動機として、セキュリティーを挙げているのは興味深いです。内部からの犯罪防止のため、本番環境から極力人間のオペレーションを排除し、小数の政府職員しかシステムを触れないようにするというわけです。
日本では自動化は省力化のためというのが一般的と思いますが、PRISM情報持ち出しという、いわゆるスノーデン事件の影響が、DevSecOps
の動機につながっているというのは興味深い分析です。