2022/10/12
デジタル化に向けた「大胆な一手」
寒暖差が激しい今日このごろですが、体調を崩さぬようご自愛ください。
さて、「2030日本デジタル改革」というプロジェクトで、マッキンゼーと在日米国商工会議所 (ACCJ) によるプロジェクトの白書(140ページ)が興味深いために共有したいと思います。
白書:2030日本デジタル改革
これは、依然として世界第三位の規模の経済大国である一方、デジタル競争力で世界27位。総生産性が-0.2%とマイナス成長しており、成長に向けて大きく舵を切れるかの瀬戸際であるという課題意識です。これは、経済産業省のDXレポートと同様に、デジタル化を急速に進めないと国際的に相対的な競争力が低下して日本の強みが失われるといった危機意識と同一でしょう。
内容としてはUS視点からの、日本の産業界の構造的な長所・短所の洗い出しがなされております。そして、それらに対する考察と打ち手であるわけです。
漸進主義ではもはやデジタル面での競争力の差は埋まらず、何らかの革新的方策を取り入れる必要があるとして、この白書では、デジタル人材、産業の価格、デジタル政府、経済の再生の4つのテーマについて、11の「大胆な一手」を提言されております。
2030年までにデジタル人材を3倍に増やし、産業界のデジタル普及率を2桁を達成すべきであるとし、2030年のGDPに及ぼしうる影響として、総経済価値の予想拡大幅は最大78兆円に達しうるとの評価でした。
また、「大胆な一手 その2」では、「日本の総労働時間の56%は自動化の影響を最も受けやすい類の業務」であり、2030年の日本の労働力の最大46%(約2700万人)が他の業務に移行する必要があるとしています。このような背景を前提とし、業務の自動化によって労働者が新しい職種に適応する必要性が高まり、技能再向上への施策が期待されるとしています。
”56%”という数字は、海外視点では、日本の業務の半分は無駄な手作業に見えるということです。かなり大きな数字ですね。
私の個人的な解釈ですと、アメリカでも実用化出来ているのか疑問な理想論もあちこちに散見されるものの、大筋では日本のデジタル化の遅れとそれによる弊害を指摘するもので、肌感覚ともあっています。もちろん日本でも物流の現場のようにロボティクスを含めた自動化が高度に進んでいる領域もありますが、そのバックエンドでは「商流の力関係上、なかなかシステムの導入をお願い出来ず、FAXで飛んでくる注文書をシステムに手入力している」といった現場も見ているので、”56%”は極端にしても、まだまだ伸びしろは大きいと思います。
レポートでは公的サービスから、教育、産業と幅広く言及されており、どのような領域にデジタルによる伸びしろがあるのかを見て取るには良い補助線になるような資料と思います。