PCの「基本的人権スペック」
こんにちは。フィックスポイントの冨です。
新年度も始まってから1か月が経とうとしています。新社会人の方、部署移動があった方も、そろそろ職場環境になじんだころかなと思います。新しい職場環境に関してITエンジニアとして気になる所といえば、仕事道具のPCのスペックがあります。
数年前から「(基本的)人権スペック」なる言葉も聞かれるようになりました。比較的快適に作業できる最低限のスペックといった意味合いですが、これが確保されていないPCでの作業はストレスが溜まり、作業効率も上がらないというレベルです。
個人的な思い出としては、以前の勤務先で新しく配属された部署で、当時の部下をヒアリングした際に、出社してPCの起動ボタンを押してから、作業が出来るようになるまで15分かかると聞いた時は衝撃でした。2世代近く昔の機種を使い続けていたわけで、利用するアプリに対してメモリ量が少なく、ひたすらディスクが回っているような状態でした。社内規定上、入れ替え申請が困難でやむなく使っているとの事でしたが、さすがに目に余るので調達部門の掛け合いましたが、最近でも、これに近い状況を見聞きすることは少なくありません。
大昔はIT機器は高価だったので職場の方が環境が良かったのですが、最近では自宅用でも相当に高性能なマシン/ネット環境が用意できるようになったので、これらと比較して大きく作業効率が落ちるようだとストレスフルですね。
「人権スペック」のレベル感については業務にもよりますが、CPUはCore i3以上、メモリは8GB以上くらいが業務用としては最低限じゃないかと思います。エンジニアはもっと多くのアプリを起動しっぱなしにしますから、これでは足りないと思います。
「人権侵害スペック」が支給される要因はコストカットや調達担当の無理解などがありますが、税法も大きな要因でしょう。原則として10万円未満では消耗品扱いで経費処理が出来ますが、これを超えると償却資産として処理する必要が出てきます。(一括償却や特例処理などの例外もあります。)つまり事務方としては10万円未満で調達すれば手続き的にも納税額の面でも有利になります。この金額で調達しようとすればメモリ4GBクラスになるわけですね。あまりIT機器に詳しくない会社/担当ですと「新しいパソコンだからOK」と、このクラスのマシンを調達しがちです。マズイですね。
この辺については、上限金額の見直しや償却期間を短くしてほしい所なのですが、別のニュースでは文部省の「GIGAスクール構想」の標準仕様が、CPU: Intel Celeron同等以上、メモリ:4GB、ストレージ:64GB とされていて、このスペックで公表されたモデルが「ダメPCの見本のようなスペック 」と酷評されておりました。 各家庭の購入依頼をするため、価格の制約も大きいのだと思いますが、人権スペックに満たないですね。
他にも小学生に貸与されるタブレットが国からの貸与品で、6年間使ったものは回収して新一年生に割り当てるといった説明を保護者会で受けたというツィートが話題になっていましたが、カタログスペックはともかく、ほぼ毎日利用される想定での経年劣化を考えると、おそよ現実的ではないです。
そもそも、PC・タブレットの耐用年数は4年に設定されていて、それすら長いと言われているわけです。
デジタル敗戦が濃厚で、「2025年の崖」だ「DX」だと掛け声が高まるのも分かるのですが、デジタル化の足腰の部分をもっと強くする方向に制度運用して欲しいものだと思います。