デジタル敗戦からの復興はなるか
こんにちは。フィックスポイントの冨です。
このメルマガが送信される頃には、Japan IT Weekのブースにて解説員をやっている予定でしたが、非常事態宣言で東京ビックサイトが利用禁止となり、イベント自体が延期となりました。「宣言」に関してはいろいろな意見がありますが、相手が感染症ですからイベント延期はやむを得ない所でもあります。
1年前の今頃は、まだまだ未知の要素も多いウィルス感染症に社会が怯えていた時期でもありました。幸運な事に日本では他国と比較してダメージが少なかったため、厳しい生活の制限をすること無しに、ここまでやってこれました。通常10年近くかかるワクチン開発も”Operation Warp Speed”や製薬会社の基礎研究の成果もあって、昨年冬には臨床試験を終えるといった幸運にも恵まれました。なんだかんだ言ってもあと1,2年で収束する道筋が見えています。ワクチン接種に伴う行政のゴタゴタも目につきますが、ここからは「転んでもただでは起きない」の精神で何か前向きになれることを見出すことが必要でしょう。
特にこの1年ではIT、デジタル関係では多くの弱点が見出されました。他国でスムーズに運用されているワクチンの接種管理が我が国ではなかなか立ち上がらない件や、公的給付金の申請対応や感染疑いの問い合わせ対応など、見直されるべき所が浮き彫りになりました。結果的にはワクチン接種の遅れから経済の回復は、他の先進国と比較して半年から1年近く遅れる見込みです。技術的な意味でも社会文化的な意味でも、我が国のアーキテクチャーがそれだけ古臭いまま放置されていた結果です。
民間でもリモートワーク対応が進まない点などあり、ワイドショーなどでも朝夕の出勤シーンがあまり変わらないといった報道が散見されますが、仮に変異種の毒性が強くて感染者の重篤度が高かった場合、業務はパニックになっていた可能性も高いと思います。将来的なリスクマネジメントの観点からも見直されるべきポイントでしょう。
流行のDXというと、新興デジタル企業と伍するための競争力の維持のためのデジタル化という意味ですが、スピード感を持って社会・事業環境の変化に対応できないと、民間の事業はもとより、国レベルでの競争力も棄損しそうな勢いです。「デジタル敗戦」といった声も聞こえてきますが、かつてのWWⅡでの敗戦から高度成長経済を実現した我が国です。これからIT業界は踏ん張りどころではないでしょうか。