IPA 「DX実践手引書」の改訂版を発表
こんにちは。フィックスポイントの冨です。
「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という言葉もすっかり普及し、「**DX」といったビジネス改革というよりは、単なる既存業務のIT導入なのではと思わせる用例も散見されるようになりました。もともと海外と比較してIT投資額が低めといわれている国内企業では、DX以前にIT導入そのものが急務ということもあり、「DX」が口実として使いやすいといったこともあるのでしょう。
さて、情報処理推進機構(IPA)より、4月4日、「DX実践手引書 ITシステム構築編」の改訂版(暫定第2.0版)を公開されました。
IPAのサイトからダウンロードできます。
https://www.ipa.go.jp/ikc/our_activities/dx.html#section7
このDX実践手引書は、DXプロジェクトをこれから計画、または途上の企業を支援するためのガイドで、改訂版では、2章「DXを継続的に進めるための考え方」が追加されました。全体としては140ページにも及び、現場のみならず経営層も目を通して頂きたい内容になっています。
冒頭に「DX」という言葉が示す範囲が幅広くなってきたと書きましたが、追加された章では「変革規模」「組織成熟度」が設定されています。
「変革規模」では、特定部門の業務の改善レベルから、社会の変革まで大きく6段階に分類されています。改革の入り口はRPAの導入による業務処理の自動化やWeb会議の導入など。続いて社内~社外を含めたサプライチェーンの自動化による改革が示されています。ここまでが「デジタルオプティマイゼーション」のレベル。
この次に「デジタルトランスフォーメーション」の段階に入り、デジタル利用による顧客体験の向上、業界構造の変革、社会の行動・構造の変革と続きます。
これにより、「DX推進プロジェクト」がどの段階を目指しているのかや、「DX」商材のターゲットがどのレベルの改善・改革を狙っているのかのモノサシになると思います。
「組織成熟度」に関しては、DXを実現するうえでの経営体制、環境、技術力などの観点から39の指標に整理されています。こちらは経営企画担当やDX推進プロジェクト担当向けです。企業トップの改革への理解やコミット、ならびに現場からのボトムアップを上手にバランスを取らないと改革推進は困難であるという観点から、具体的にどのような観点からの施策検討が必要かについて書かれています。
「DX」という言葉がクローズアップされて数年、飽きられはじめている今日このごろですが、実際に「これぞDX!」と呼べるようなデジタル利用で大きく顧客体験が変わったと実感する例は、消費者目線で見てそれほど登場していないと思います。
いずれにせよ、製品・サービス・企業オペレーションが「どうありたいか」をイメージするのが先決ですね。