AI事業者ガイドラインの公開
こんにちは。フィックスポイントの冨です。
総務省と経済産業省は4/19日に「AI事業者ガイドライン(第1.0版)」を公開しました。
これは、AIの開発・提供・利用を行う人に向けたガイドラインであり、AIの安心安全な利活用と便益の最大化・競争力の強化などに向けたものです。
AI事業者ガイドライン案(第1.0版) 経済産業省
既存の「AI開発ガイドライン」「AI利活用ガイドライン」「AI原則実践のためのガバナンスガイドライン」を統合・アップデートしたもので、これまでの検討会の記録は以下のURLで公開されています。
AI事業者ガイドライン検討会
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/ai_shakai_jisso/20240419_report.html
取り決めに際してのパブコメには法人・団体から41件、個人から3506件と合せて4000件近い意見が寄せられ、それに対する考え方に関しても資料化されていますが、この件数は関心の高さを裏付けていますが、事務局は大変だったと思います。
メインのガイドライン自体は全36ページで、AIの定義、目指すべき社会像、開発者・提供者・利用者がそれぞれ重視すべき項目を解説しているものです。必要に応じて該当しそうな個所をピックアップして読めば良いと思いますが、自分が目を通した際には本編だけだと一般論や原則はわかるものの、実際にどう使えばいいか悩むところが多かったです。別添を参照された方がより具体的なイメージをつかめる構成になっています。
「ガイドライン」という事で法的拘束力は無いものの、サービス提供側からみれば順守が望ましい事項が記載されているわけです。
いわゆるソフトロー扱いですから、記載されている原則を踏まえて、それぞれの事業者による自主的に判断、業界の自主規制などで対応すべしというスタンスです。
ただ目先の状況を見ても、生成AI周りでの著作権関連のトラブル、ディープフェイク等による詐欺行為、学習データのバイアスによる意思決定のバイアス問題など、さまざまな問題が取りざたされていますので、なんらかのAI規制が出来るのは時間の問題ではないかと思います。また海外での規制も視野に入れておかないと、一方的に事業者が振り回される可能性もあります。
非常に協力な新技術が一般の人から容易にアクセスできる状況で、業務効率のアップなどの良い方向にも悪い方向にも利用できるわけですが、これからは、AI技術の進展に伴い、より深い議論と規制が求められるでしょう。業界と政府が協力し、AIの持つ潜在的なリスクと利益をバランスよく考慮しながら、安全で公正なAIの未来を築いていくことが重要です。