2022/10/19
「効率化」の目線をあわせる
作業の自動化のプロジェクトのヒアリングをしていると、マネージャーレベルでの温度感とは別に、現場レベルではあまり前向きでないケースがあります。
理由を伺ってみると、「自動化で削減できる作業量に対して、自動化するコストがはるかに大きい。ただトップダウンで自動化プロジェクトが立ち上がったため、自動化したという実績作りが必要なので着手している」といった、導入アピールのためだけに進めているといった場合がありました。
別のケースでは、自動化が進んでも業績考課には関係ないので、自分の身の回りの作業を自動化できれば終わりといったレベル感。導入後のメンテナンスなども考えると、あまり積極的に他の人・部署の作業の自動化まで手を広げることは考えにくいとのこと。
自動化プロジェクトを推進したい経営・マネージメントの人は、主に工数削減によるコストカットを期待します。また、効率化すれば熟練度が低い社員であっても業務がこなせるようになり、これまた人件費の削減につなげられます。製造現場や物流などの現場で、ロボティクスによる究極的なレベルで自動化が進んだケースを見ていれば、それらの期待も無理もないでしょう。
対して、現場で作業する立場では、通常の業務に加えて自動化推進も携わるとなれば、単純に業務負荷が高まります。これを無意味な業務の軽減につながるものであれば、本人のやりがいや成長に繋がることも期待出来ますので、モチベーションも維持されます。
目線がそろっておらず、アリバイ的に「自動化を進めたアピール」のための作業であれば、プロジェクトが一段落したタイミングより、導入したはずの効率化は崩壊して非効率業務に戻ってしまうことさえあります。
自動化に限った話ではありませんが、プロジェクトを完遂した後、関係者が皆ハッピーになれるようにゴール設定をすり合わせる事は重要です。「効果のほどは分からないが、言われたので作業している」といった声は、意外と耳にするものです。