DXは差別化要素を作るための投資という視点
こんにちは。フィックスポイントの冨です。
会社の事務方の業務に大きな影響があるのが、令和4年1月に法改正される「電子帳簿保存法(電帳法)」と令和5年10月から導入される「電子インボイス制度」です。
書類の電子保存をやりやすくして、取引情報の紙でのやり取りを削減していくために整備されたもので、オフィス業務のデジタル化を促進するための法律・制度改正です。
取引データの管理システムが重要になるため、対応に追われる情シスの方も多いのではないでしょうか。
ただバックオフィス業務の電子化ソリューション導入ををもって”DX”と呼んでいる記事なども見かけましたが、”DX”という言葉が出てきた文脈を考えると少し違和感を覚えます。紙からデジタルへのトランスフォーメーションには違いないのですが、単なる業務改善や法令準拠のためのシステム更新のみにとどまらず、デジタルの力を使って商品・サービスそのものの競争力を高めるのが”DX”の目的でした。
つまり”DX”はその性質上、先行投資案件であり、他社と同じことを同じレベルでこなしているだけでは差別化要因にはなりません。さらには、IT施策を導入する内容に加えてタイミングも重要な要素です。後追いで導入した所では、競争優位どころか、単なるキャッチアップに過ぎません。
業界内でのポジションやシェア、商品のカテゴリーなどにより投資戦略は変わるのでしょうが、タイミングを逃した”DX”では攻めているつもりが単なる横並びに終わりかねません。
最近、デジタルとは違った意味での”トランスフォーメーション”を突きつけられているのは自動車業界です。従来型のガソリン車から新しい動力源への移行を突きつけられています、電気、水素、ハイブリッドなど多様な動力源の候補から、各国の環境基準の準拠、インフラの整備、サプライチェーンなどに目配せをしつつ、どれを採用するのかは悩ましいところだと思います。
特にEVでは技術的な参入障壁が下がる見通しであることから、方針を間違えると業界ごと大ダメージを受けかねません。
デジタルにせよ何にせよ、時代の流れを読み切って生き残りをかけた業態の変更は、自社のビジネスがどうあるべきかという視点と共に、他社との競争でもあります。最近、Facebook社がMeta社に社名変更した事が話題になりましたが、メタバースという世界観の構築に注力するという意思表示でもありました。もともとデジタルの会社ではありますが、別のデジタルのドメインにチャレンジするという意味では、生き残りを賭けたFacebookなりの”DX”なのだろうと思います。