2022/11/23
テックジャイアントのリストラとDX
2週間前の本メールで、Twitter社の人員削減について話題に挙げましたが、その後、Facebook社も1.1万人のリストラ、アマゾンも新規採用の凍結などを発表。USテック企業においては人員削減の波が押し寄せている様子です。メディアに出て来ないような企業でも、人員整理が行われていく傾向は想定されます。
イーロン・マスク氏がTwitter買収後に大鉈を振るった事が直接の契機ではありましたが、ファンダメンタルを見ればコロナ禍の巣ごもり需要バブルが終わりに向かっていることは見逃せません。国ごとにいろいろな制約はありつつも家に閉じこもるといったライフスタイルは終わり、従前の行動様式に戻りつつあります。このような状況ではオンラインでの取引・活動は自ずと減っていきます。そして継続する利上げによる景気減速。ようやくインフレも落ち着きつつありますが、テック企業は軒並み決算が悪化しています。
リストラされた人材が市場にあふれる事になるわけです。一方、日本国内ではIT人材が慢性的に不足している状況でありますので、一見すれば人材獲得のチャンスでもあります。ただ、日本の労働市場にどの程度の影響が出てくるかは未知数ですし、個人的にも、まだエンジニアの求職が増えたといった声も聞こえてきません。Googleから日本のベンチャーに転職した友人もおりますが、報酬水準の差も大きく、1/3近くになったとも聞きました。人材は放出されたにしても、ただちに買い手市場に転換するとも考えにくく、なかなか採用も容易にはならないでしょう。
ただ、そうは言っても、国内でもNTTなどが新入社員の報酬アップなどを発表していますので、人材引き抜き防止の観点から賃金引き上げの流れがようやく始まる可能性もあります。
またリストラ以外にも既存事業の見直しの報道も見かけます。特にアマゾン社がAlexa事業に言及した際は動揺が走りました。AIを利用した同社のスマートスピーカー/音声インターフェースで利用者も多いため、中止されるとなればそのエコシステムも含めて影響は大でしょう。
そして今一度思い出して欲しいのは、「DX」の目的はこのようなテックジャイアントに対する競争優位性を保つための改革であったわけですが、そのテックジャイアント自身がリストラや事業ポートフォリオの見直しなどで、大胆な経営刷新を図っている点です。
この規模感・スピード感についていける「DXプロジェクト」が国内にどれだけあるのでしょうか。