増えるシステム、増えない人
最近は”DX”という言葉も以前ほどには盛り上がりに欠けるようになってきましたが、それでもペースはともかく、基本的にはビジネスは成長・拡大志向ではありますし、最近のビジネスには多かれ少なかれ、システムが関係してきます。
そんな中、首都圏のデータセンターの稼働率が9割を超えたとか。最近だと千葉の印西あたりが有名ですが、埋まるのもそう時間がかからないでしょう。
日本経済新聞: 首都圏のデータセンター稼働率9割に 新規募集停止も(会員向け)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC042Z60U3A700C2000000/
電力費用高騰のなか、IT業界的には非常に羽振りの良い話でございまして、基本的には歓迎される話だと思います。
ただ、データセンターが埋まるということは、それだけ運用するシステムが増えているという事ですし、一方で運用担当者が劇的に増えているという話は聞こえてきません。
むしろ足りないという声を耳にします。
システム開発・構築の方は、比較的生産性が上がっていると思います。
ツールや開発方法論など、10年、20年前と比較すれば劇的に生産性は上がっています。
ここ半年の話でも生成系AIの開発支援の機能は素晴らしく、自分もある程度までコードを書き進めると、それからAIから提案されるコードに「それだよ、それ」と、単にTabキーを打って確定するだけといった経験をすることが増えました。
開発サイドの生産性はどんどん向上していると感じています。
一方、システム運用に関しては、そこまで劇的な変化が見られないです。
日々のバックアップやパッチ当て。ツールが取得するメトリックを監視し、異常の兆候を見つけたら対応する。
障害アラートが飛んで来たら、原因追及を行ってトラブルシュートを行う。
いろいろと便利なツールが登場しているとはいえ、人海戦術風味な仕事のスタイルは、10年、20年前と比較しても、大きくは変わっていないのではないでしょうか。
広く社会を見ても、人手不足の問題は大きいわけで、「報酬を上げれば人は集まる。(経営側の)自業自得だ!」という声も聞こえてきます。
それも一つの真実ではあるのですが、第一次産業や町工場などの小規模二次産業は
後継者不足で緩やかな死を迎えつつあり、地方都市ではインフラ維持さえ難しくなりつつあります。
デジタルに投資が続くというのは良い話ではありますが、運用周辺ではなかなか人が集めにくい状況は大きく変化していないようです。
システムを増やす際には、作った後、どのように運用・保守していくかを考慮して、運用計画、リソース配分、技術選択などを行うようにしてみてください。