VUCAの時代を生き抜くスキル
こんにちは。フィックスポイントの冨です。
いわゆるコロナ禍による事業環境の激変を「ブラック・スワン」と称することもありますが、近い将来にはワクチン接種による状況の改善、それに伴う社会活動の再開。また直近でいえば「ウッドショック」と呼ばれる世界的な木材の高騰があり、IT業界でも一部の部材の不足や高騰が見られます。中長期で見ても、コロナ禍で明らかになった社会的脆弱性に対する対応や、脱炭素に向けた産業構造の変革など、あらゆる観点から環境が目まぐるしく変化していくことが予想されます。
このような、将来予測が困難な状況を意味する言葉として「VUCA(ブーカ)」が挙げられます。これは、ビジネス環境、組織、個人などあらゆるものを取り巻く環境が変化し、将来の予測が困難になっている状況を意味する造語のことで、「Volatility:変動性」「Uncertainty:不確実性」「Complexity:複雑性」「Ambiguity:曖昧性」という4つの単語の頭文字から成ります。もともとは1990年代ごろから複雑化した国際情勢を示す軍事用語でしたが、最近はビジネスシーンでも用いられるようになりました。
世界は複雑かつ不確実な要素が増え、問題解決方法自体が見つからないといった状況です。身近な例で言えば2ヶ月後に迫った東京五輪の開催の是非でしょう。参加各国での新型コロナの感染状況、他国からの選手団の受け入れ体制、各種ロジスティクスの状況、医療スタッフやボランティアの確保の見通し、開催した場合の感染リスクの評価、開催拒否した場合の賠償金の額など、数多くの変数が存在し、利害関係が複雑に絡み合います。開催するにせよ中止するにせよ、意思決定すること自体が大変困難であると思われます。
このようなVUCAの時代に必要と考えられているフレームワークとして「OODA(ウーダ)ループ」というものがあります。従来からある「PDCAサイクル」は想定外の状況が起きない前提がありますが、「OODAループ」では変化に柔軟・迅速な対応を目指すものです。
Observe(観察):社会情勢、市場や顧客といった外部環境を観察し、データを収集する。
Orient(状況判断):収集したデータをもとに現状を把握・理解する。
Decide(意思決定):理解した状況に対して、具体的な方針・アクションプランを決定する。
Act(実行):プランをもとに、迅速に実行する。
最初に計画から始めるPDCAと違う点は、OODAループでは観察と状況判断から始まる点です。何が起こるか予測が不可能なVUCA時代には、全てを計画通りに行うことは困難であるという認識から、現場で的確に状況を判断し、柔軟に対応していくことを重視する考え方です。アジャイル開発にもつながる考え方とも言えましょう。
これまでもマーケット・リサーチを始め、OODA的なアプローチが無かったわけではありませんが、状況が変わる時間軸が短くなり、その時々の戦術的な対応が重視される時代になったわけです。古いやり方に固執していると負け戦になります。
状況を読み切り、波乗りが上手な人が生き残る時代になったとも言えるのでしょう。