Kompira

Menu Menu

Column

2021/05/12

VUCAの時代を生き抜くスキル

こんにちは。フィックスポイントの冨です。

いわゆるコロナ禍による事業環境の激変を「ブラック・スワン」と称することもありますが、近い将来にはワクチン接種による状況の改善、それに伴う社会活動の再開。また直近でいえば「ウッドショック」と呼ばれる世界的な木材の高騰があり、IT業界でも一部の部材の不足や高騰が見られます。中長期で見ても、コロナ禍で明らかになった社会的脆弱性に対する対応や、脱炭素に向けた産業構造の変革など、あらゆる観点から環境が目まぐるしく変化していくことが予想されます。

このような、将来予測が困難な状況を意味する言葉として「VUCA(ブーカ)」が挙げられます。これは、ビジネス環境、組織、個人などあらゆるものを取り巻く環境が変化し、将来の予測が困難になっている状況を意味する造語のことで、「Volatility:変動性」「Uncertainty:不確実性」「Complexity:複雑性」「Ambiguity:曖昧性」という4つの単語の頭文字から成ります。もともとは1990年代ごろから複雑化した国際情勢を示す軍事用語でしたが、最近はビジネスシーンでも用いられるようになりました。

世界は複雑かつ不確実な要素が増え、問題解決方法自体が見つからないといった状況です。身近な例で言えば2ヶ月後に迫った東京五輪の開催の是非でしょう。参加各国での新型コロナの感染状況、他国からの選手団の受け入れ体制、各種ロジスティクスの状況、医療スタッフやボランティアの確保の見通し、開催した場合の感染リスクの評価、開催拒否した場合の賠償金の額など、数多くの変数が存在し、利害関係が複雑に絡み合います。開催するにせよ中止するにせよ、意思決定すること自体が大変困難であると思われます。

このようなVUCAの時代に必要と考えられているフレームワークとして「OODA(ウーダ)ループ」というものがあります。従来からある「PDCAサイクル」は想定外の状況が起きない前提がありますが、「OODAループ」では変化に柔軟・迅速な対応を目指すものです。

Observe(観察):社会情勢、市場や顧客といった外部環境を観察し、データを収集する。

Orient(状況判断):収集したデータをもとに現状を把握・理解する。

Decide(意思決定):理解した状況に対して、具体的な方針・アクションプランを決定する。

Act(実行):プランをもとに、迅速に実行する。

最初に計画から始めるPDCAと違う点は、OODAループでは観察と状況判断から始まる点です。何が起こるか予測が不可能なVUCA時代には、全てを計画通りに行うことは困難であるという認識から、現場で的確に状況を判断し、柔軟に対応していくことを重視する考え方です。アジャイル開発にもつながる考え方とも言えましょう。

これまでもマーケット・リサーチを始め、OODA的なアプローチが無かったわけではありませんが、状況が変わる時間軸が短くなり、その時々の戦術的な対応が重視される時代になったわけです。古いやり方に固執していると負け戦になります。

状況を読み切り、波乗りが上手な人が生き残る時代になったとも言えるのでしょう。

コラム一覧
2024年
2024.03.27
自動化する側になれますか?
2024.03.21
システム障害の教訓
2024.03.13
NIST CSF2.0のリリース
2024.02.28
AI企業がけん引する株式市場
2024.02.21
プロアクティブな「予防保守」に向けて
2024.02.14
CentOS 7のEOLに向けて
2024.01.31
情報セキュリティ10大脅威 2024が発表
2024.01.24
ネット出願のメールのトラブル
2024.01.17
Gmailの迷惑メール対策が間近
2023年
2023.12.27
2023年は生成AIの一年でした
2023.12.20
「プラットフォーム・エンジニアリング」は流行るか?!
2023.12.13
今年も年末でアドベントカレンダーの季節
2023.11.29
今日はOpsSummit 2023の日
2023.11.22
AI技術利用のモラル
2023.11.15
IT業界での燃え尽き症候群
2023.11.14
セキュリティガイドラインのプラクティス集が公開
2023.10.30
相次ぐ大量情報漏洩事件
2023.10.27
50年間トラブル無しのシステム
2023.10.25
ケイパビリティの強化
2023.10.24
「豆腐」という構成管理ツール
2023.10.23
キャリアパスへの不安感
2023.10.20
業務属人化の是々非々
2023.10.18
「運用設計の教科書」の改訂版が出ます
2023.10.17
ガートナーが発表した2つのハイプサイクル
2023.10.16
「デジタルスキル標準」の改定
2023.10.13
お盆休みといえばセキュリティー
2023.10.12
「形式主義」と「実質主義」
2023.10.11
増えるシステム、増えない人
2023.10.05
ニトリに見るITリテラシーの底上げ
2023.10.03
「自由なソフトウェア」の理念
2023.10.02
Interop2023に出展しました
2023.09.29
経産省 ASM導入ガイダンスを公開
2023.09.28
業務効率化に際して大事なこと
2023.09.27
「監視」に疲れ切っていませんか?
2023.09.26
リモート勤務の是々非々、再び
2023.09.25
大型連休の準備は出来ましたか?
2023.09.22
新しくリーダーになった人へ
2023.09.21
運用にChatGPTにどう使う?!
2023.09.20
「閉域網神話」の崩壊
2023.09.19
LLM戦国時代の到来
2023.09.14
作業自動化のボトルネック
2023.09.13
作業自動化の6ステップ
2023.09.12
IPAよりDX白書2023
2023.09.11
チャットボットAIが大流行
2023.09.07
リスキリングと35歳定年説
2023.09.06
USビッグテックでリストラ始まる
2023.09.05
デジタルスキル標準の発表
2023.09.04
SBOMとサイバー防衛の取り組み
2023.09.01
ITインフラを何で勉強してますか?
2023.08.31
業務自動化で避けるべき落とし穴
2022年
2022.11.30
AIは運用業務を変えるか?
2022.11.23
テックジャイアントのリストラとDX
2022.11.16
ヒヤリ・ハット対応から始めるトラブル対応
2022.11.09
ソフトウェアエンジニア受難の時代
2022.10.26
DXレポート2.2が訴える戦略の重要さ
2022.10.19
「効率化」の目線をあわせる
2022.10.12
デジタル化に向けた「大胆な一手」
2022.09.28
自動化の前に手順書の見直し
2022.09.14
セキュリティー投資はトップダウンで
2022.08.31
DXの落とし穴
2022.08.24
業務自動化への展望
2022.08.17
ガートナー社の2022年の新興技術ハイプ・サイクル
2022.08.10
医療逼迫と業務改善
2022.07.27
”Web3”入門書の炎上
2022.07.20
ゼロトラストの設計と実装
2022.07.13
障害対応は事前の準備から
2022.06.29
尼崎市の個人情報インシデントの件
2022.06.22
リソース不足が招いた半田病院の悲劇
2022.06.15
MSPのセキュリティーアドバイザリー
2022.06.08
シリコンバレーは黄色信号?
2022.05.25
今年もやります。OpsSummit 2022
2022.05.18
「現場猫」案件にみる甘い危機管理
2022.04.27
運用管理に向いているDMAICフレームワーク
2022.04.20
お勧め本「システム運用アンチパターン」
2022.04.13
IPA 「DX実践手引書」の改訂版を発表
2022.03.31
春は引継ぎのシーズン
2022.03.24
「なぜなぜ分析」の使い方
2022.03.16
マルウェアEmotet再流行
2022.03.09
省エネモードのエンジニア
2022.02.24
ヒューマンエラーを防ぐには
2022.02.16
インフラ維持と式年遷宮
2022.02.09
Web3.0とP2Pの復権
2022.01.24
JIS規格に学ぶリスクマネジメン
2022.01.19
多すぎる通知の副作用
2022.01.12
2022年のインフラ技術
2021年
2021.12.29
今年もお世話になりました
2021.12.22
品質レベルはステージごとに変わる
2021.12.15
ログ出力ライブラリLog4j脆弱性の影響
2021.12.09
リモート作業の問題点
2021.11.24
メタバースに未来はあるか
2021.11.17
インシデントとの向き合い方
2021.11.10
DXは差別化要素を作るための投資という視点
2021.10.27
監視の拡張としてのオブザーバビリティ
2021.10.20
良い自動化、イマイチな自動化
2021.10.13
みずほ銀のトラブルから学ぶ
2021.09.29
クラウドDBで時短
2021.09.22
そろそろWindows 11が到来します
2021.09.15
トラブル対応の心がけ
2021.09.08
10/10は「デジタルの日」
2021.08.25
運用なき開発を避ける
2021.08.18
日本のDXの最前線
2021.08.12
DXとアジリティ
2021.07.14
ポストコロナで会議室が足りなくなる?
2021.06.30
自動化の技術選択
2021.06.23
業務の自動化は入り口にすぎない
2021.06.16
データ入力のお作法
2021.05.26
「苦労に価値がある」という価値感
2021.05.19
「運用でカバー」する公共システム
2021.05.12
VUCAの時代を生き抜くスキル
2021.04.28
デジタル敗戦からの復興はなるか
2021.04.21
PCの「基本的人権スペック」
2021.04.14
お勧め書籍「運用改善の教科書」
2021.03.31
運用スタッフの大部分はリモートワークへ
2021.03.24
定型業務をプログラマブルに
2021.03.17
監視疲れを起こさない工夫
2021.03.08
MSの無料RPAは自動化の起爆剤となるか
2021.02.22
終わりなき開発とインフラ運用
2021.02.17
作業を自動化しても業務が効率化しない場合
2021.02.10
Cocoaのバグが4か月も発覚しなかった話
2021.01.27
「クソどうでもいい仕事」を考える
2021.01.26
「クソどうでもいい仕事」を考える
2021.01.20
自動化の次の課題としてのAIOps
2021.01.13
DXレポート2が公開されました
2020年
2020.12.21
今年もお世話になりました。
2020.12.16
どうなる? 2021年のITインフラ
2020.12.09
アドベント・カレンダーの季節です
2020.11.11
AI・業務自動展で見聞きしたツライお話
2020.11.04
「7番セカンド」な仕事
2020.10.21
システム監視とアラート地獄
2020.10.19
機械学習とシステム運用
2020.10.14
形あるものは壊れる。システムも。
2020.09.30
技術ドキュメントの課題
2020.09.23
デジタル庁に寄せる期待感
2020.09.16
ローコード開発とエンジニア不要論
2020.09.09
技術の近未来予測とニューノーマル対応
2020.08.26
“アンチフラジャイル”な考え方
2020.08.19
カオスエンジニアリングという考え方
2020.08.12
運用が稼ぐ時代
2020.07.29
AIシステムの運用
2020.07.22
新宿に宿泊でTDLにGoToは対象外?
2020.07.08
チェック回数を増やしても意味がない
2020.06.24
「時代はクラウド」発言と政府インフラ
2020.06.17
システムの標準化とスキルセット
2020.06.10
「2025年の崖」からの転落事故
2020.05.20
先端IT“非”従事者は勉強不足 from IP
2020.05.12
スペイン風邪にみるコロナ第二波へ備
2020.04.30
「運用でカバー」という魔法の言葉
2020.04.26
未然に防いだトラブルは評価されにくい
2020.04.22
リモート勤務で重要性を増す「ゼロ・トラスト」セキュリティ
2020.04.15
オンラインイベント「Ops Summit2020」開催!
2020.04.15
コンサルは「標準化しろ」とは言うけれど
2020.04.08
オンライン”Zoom”会議のセキュリティー問題
2020.03.23
ドキュメントで見かける”Day 2オペレーション”
2020.03.18
今、売れまくっているITサービス
2020.03.11
出社している場合じゃないご時世
2020.02.26
新型コロナウィルス対策に学ぶトラブル対応
2020.02.19
バレンタインデーにシステム統合の本がバカ売れ
2020.02.12
ハイパーオートメーションの時代
2020.01.29
インフラ運用リーダーが備えるべき10の能力
2020.01.22
障害発生時の夜中に叩き起こす技術
2019年
2019.12.11
RPAとRBAと運用自動化
2019.12.11
年末年始に読む運用関連本
2019.11.27
業務フローの「こんまり」のお勧め
2019.11.20
「システム運用自動化」はスモールスタートで
2019.11.13
運用事故では人を責めない
2019.01.15
話題の「クラウドネイティブ」とは何か?