「ITが苦手な人」への社会的配慮
強めのタイトルゆえに、ITがらみで一部で話題となった記事がありました。
「ITが苦手な人」への社会的配慮は要らない
https://agora-web.jp/archives/241117221319.html
要は高年者を中心に「ITが苦手」という人に極端に配慮しているとIT化が遅れ、今や危機的な水準に達しているという意見です。 かつてのPC大国、携帯大国であった日本社会のIT導入は遅れ気味だったのはかねてから指摘されており、 コロナ禍に入ってからの例としては、医療施設情報の管理、補助金の支給手続き、COCOAの開発・導入など、 いろいろな所で非効率な事務作業が手作業で進められていたことが思い出されます。
最近でも選挙後の所見を求められた某党首が優先政策として「紙の保険証を使えるように」と発言し、「それが真っ先に挙げることか」と疑問の声が相次ぎました。
会社の情報システム部門の人も「まるでIT介護職だよ・・・」とぼやく現場も時々耳にします。
「ITが苦手」という人に設計をあわせてしまうと、アナログ業務の継続で処理がスムーズに進まなかったり、 デジタル/アナログ系の二重処理になって、データ集約等で複雑度が増して、余計にコストがかかるようになります。
上記の記事では、そもそも「ITが苦手」という人は、単に新しい事を覚えるのを面倒くさがっているだけであって、 ちゃんとしたトレーニングの機会があれば問題なく利用できるはずであると。
例えば決済のオンライン化が進んだ中国では、年配の方でも普通にQRコード決済を行っているので、「年齢が理由で『スマホが使えない』とか、覚える気が無いだけでしょう」のような意見には一理あります。
ただ自分も同情するのは、やたらにUIが複雑なものが多くて、始めたはいいけど途中から分からなくなるというのは 本当にその通りと思います。 自分もそれなりにIT周りには詳しいと自負しておりますが、それでも
「アカウントを作るのに別の登録用アプリをインストールして」
「本人確認のため、マイナカードの厚みが確認できるように斜め上からの写真を撮って」
「セキュリティーのために、SMSかパスキーかAuthenticatorのコードが登録済メールに送ったパスコードを入力して」
など要求されると、これ、一般の人ってどれだけできるのかしらと心配になります。 例えば、私個人もマイナポータルと各金融機関のデータ連携が、どこまで正しく出来ているのか自信がありません。
IT以前の問題として、そもそも制度や業務が複雑すぎて、やたらと入力項目やオプションの選択肢があると、 画面を見ただけで「ひえぇぇ・・・・」となるものもあります。
冒頭のテーマに関しては、今後人手不足の日本ですから、過渡期の混乱はあるにせよ、 みなさん、なるべくデジタル化に協力してよと思いますし、
一方でITを導入する業者さんにおかれましては、 「仕様を満たしたから文句ないよね」といったUIではなく、 もっと使い勝手に配慮したヒューマンインターフェースへとご配慮いただければと強く願う次第です。