2024年のハイプサイクル
パリ・オリンピックも幕を閉じ、お盆シーズンを迎えますと、夏も後半戦といった様相です。
この時期になりますと発表されるのが、ガートナー社の先進技術ハイプサイクルです。この手のデータは経年比較をしてみると面白いため、一昨年、昨年の分のリンクもつけてみました。
日本における未来志向型インフラ・テクノロジのハイプ・サイクル:2024年
https://www.gartner.co.jp/ja/newsroom/press-releases/pr-20240807-future-oriented-infra-tech-hc
同2023年
https://www.gartner.co.jp/ja/newsroom/press-releases/pr-20230817
同2022年
https://www.gartner.co.jp/ja/newsroom/press-releases/pr-20220901
2022年頃にブームのピークを迎えた「メタバース」「Web3」あたりは幻滅期の谷底近くに移りました。確かに最近は盛り上がっていません。
メタバース周りはまだまだ趣味で楽しんでいる人が多いのと、時々、ヴァーチャルグラスなどのハードの新製品も出てきているため、何かのきっかけで再浮上するのかもしれません。Web3、NFTなどは資産の暴落以降、ほとんど耳にしなくなりました。DAOも寡聞にして存じませんが、メディアではほとんど見なくなりました。
今年のハイプサイクルで注目されるのは、検索拡張生成(RAG)とのこと。ご存じの通り、生成AIを巡る開発競争は引き続き激化しており、LLM本体やマルチモーダル化の開発競争も引き続き盛んです。サービス展開も活発化し、Microsoft社のCopilot+PCの投入、GoogleもGeminiの展開をがんばっていますし、Softbankグループがperplexityを展開するといったニュースも流れています。
利用者側は、プロンプトエンジニアリングからAIチャットボットをいかに上手く使うかといった流れはあり、またAIを業務に取り込むかを苦慮してきました。そこでは基本的には学習済の範囲しか回答出来ないといった弱点は特に業務利用を想定する場合には大きな不満のポイントでした。自社の製品・サービスをほとんど知らないLLMを使っても、ハルシネーションだらけの回答を返すため、LLMを応用したサービス設計を行う際の大きなネックとなります。
このため、文章処理が得意なLLMをはじめとする既存のAIの特徴は生かしつつ、いかに手持ちのデータを反映させるか。オープン/クローズ問わず日々生成されるデータを取り込むかといった所を苦心するようになりました。この技術がRAGと呼ばれるもので、外部の知識ベースからの情報を組み合わせることで、AIモデルの最終的な回答の精度を上げようというものです。
初期のRAGはプロンプト自体にデータを記載するといったものから、ファイルをアップロード出来るものまでありました。ただし投入できるデータ量が少ないことから、回答の改善は限定的で、いかに一定規模のデータを取り込ませ、かつ意味をAIモデルが総合的に理解できるかが焦点となってきました。
まだまだAI技術周辺は「過度な期待のピーク期」ながらも、まだまだ伸びしろが多そうです。個人的にはデータを取り込んだExcelを用いて、関数・マクロを書かずとも、集計・分析を、いろいろな条件をテキストによる指示で試せるようになったらなあと思っています。