作っても使われないシステム
最初に見た時にビックリしてしまったのです。数千億円投入しているシステムですよね。
マイナによる手続き機能、自治体大半が未利用 会計検査院が指摘
https://news.yahoo.co.jp/articles/bf9dc511c14ee13d52e061eb31be6796f4abdff8
「マイナンバーシステムで児童手当や介護保険申請などの手続きを簡略化する機能の活用状況についての調査結果を、会計検査院が15日に公表した。2022年度に全国半数以上の自治体が活用したのは1258機能のうち年金申請などの33機能(3%)で、税金減免などに関する485機能(39%)は全く使われていなかった。」
企業でも既存業務の自動化を目的に作ったシステムが使われずに放置されるといった話も「あるある」ですが、行政DXもなかなかの惨状です。
昨年から今年にかけて始まったインボイス制度や電帳法でも、現場の事務作業が増えまくったとの非難が相次いだことから、行政側でも新しい業務にあわせる負担が大きいのだろうなあと思います。また利用状況の実態が、会計検査院が調査するまで分からなかったというのも問題でしょう。政府が巨額を投じて推進している行政のデジタル化策が、現場の効率化につながるどころか、かえって負担を増やしかねないのは、早々に対応が必要な事態と思います。
今年の冬にはマイナ保険証への切り替えも始まりますが、4月の利用率は6.56%という状況で、マイナカードを利用した行政DXはなかなかに雲行きが怪しい状況です。私もマイナカードで保険証として使ってみましたが、スムーズに進めた場合がある一方で、読み取りエラーを起こしまくり、結局、従来の保険証で処理したこともありまして、これはなかなかシンドイなあと思いました。
新しいシステムへの移行は普及するまで、なかなかに大変なものですが、似たような事例としては高速道路のETCがいい例なのではと思います。普及するまではトラブルもありましたし、カードリーダーに補助金だしたりしてましたが、普及した今となっては、無くては不便極まりないでしょう。
業務の自動化を進めるにあたって、単にシステムを作れば終わりといったものではなく、課題の洗い出しから現場の業務設計、使いやすいUI、マニュアルの作成からトレーニングなど、移行までの現場のケアを考慮に入れないと、壮大なデジタル箱物行政になりかねないのは注意が必要です。将来的にはスマホ、SUICAなどのように「マイナカードが無かった時代は大変だったんだよなあ」と振り返る日がくると良いですね。