「システム運用の自動化のすゝめ」についてご説明させていただきます。
SMSデータテック ソリューションサービス本部 自動化ソリューション部の服部でございます。
よろしくお願いいたします。
私の経歴ですが、弊社に入社後カード決済システムの運用管理業務を約10年経験しています。
その後本社に戻り営業とサービス企画を経まして、現在は弊社の自動化事業の部門の部門長を担当しています。
弊社からは「システム運用自動化のすゝめ」と題しましてシステム運用自動化の進め方と自動化事例についてご紹介させていただきます。
会社概要
それではまず弊社SMSデータテックの会社概要についてご説明いたします。
SNSデータテックは2001年6月にシステム運用保守部門からスタートした会社で設立21年になります。
今ではシステムの企画開発及びインフラの設計構築部隊を立ち上げ、ITシステムのライフサイクル全般に対応できる体制へと強化しています。
官公庁様や金融機関様といった社会インフラのシステムに関わることが多く、大規模システムの開発及び運用保守業務について長年にわたる経験を培ってきています。
持ち帰りの請負開発やリモート監視による運用維持管理業務、テクニカルサポート業務など様々な業務を対応させていただいています。
事業拠点としては東京に本社があり、大阪と名古屋にも拠点があります。
私どものスキルベースの一つとして、ITサービスマネジメントの成功事例を体系化したITILを参照し活用しています。
社員には全社員、知識として資格を保持させており、会社としても教育事業者の認定を取得し教育と資格取得支援に向けたサービスの展開しています。
また近年高まる運用自動化のニーズにお答えするため自動化ソリューション事業にも力を入れており、フィックスポイント様のKompiraをはじめ、様々な自動化ツールを用いてお客様の業務の自動化のご支援をしています。
主要取引としてNTTデータ様やNTTコミュニケーションズ様、エンドユーザー様に至るまで。お取引内容もアプリやインフラ問わず運用から開発、コンサルにわたる様々な分野で多くの企業の皆様とお取引させていただいております。
我々が所属しておりますソリューションサービス本部はITの運用管理事業を中心といたしまして、ITコンサルティング、教育事業、運用自動化事業等を行っている組織です。
全体で300名の技術者が在籍している本部になります。
私が担当している自動化ソリューション部については、昨年立ち上げた部門で弊社の自動化事業あるいはリモートの監視サービス等を扱っている部門になります。
運用自動化ソリューション
続いて弊社の自動化ソリューション事業についても少しご説明させて頂きます。
自動化に興味があっても何をしていいかわからない、社内に自動化開発ができる人がいない、自動化後の運用保守が不安等、近年お客様の自動化に関するお悩みをお聞きする機会が増えてきました。
そんな自動化に関するお悩みを解決するサービスとして、SMSデータテック自動化ソリューションがございます。
SMSデータテック運用自動化ソリューションは自動化のコンサルティングから自動化の開発、自動化の運用までお客様の業務の自動化をトータルでサポートしてきます。
自動化のコンサルティングでは弊社の経験豊富なコンサルタントが業務の可視化や自動化ツール選定、業務改善などの支援を行っています。
自動化開発では「SDT×Kompira」や、「One Cockpit」等を用いたシステム運用の自動化サービスを中心に、WinActorやUiPath等のRPAツールの導入支援、お客様の独自の業務に合わせた専用ツールを開発する個別ツール開発サービスのご提供しています。
弊社の長年にわたる運用ノウハウを用いて、運用しやすい最適な自動化ツールのご提供を行っています。
最後に自動化運用ですが、弊社は自動化を導入して終わりではなく、納入後の運用保守として自動化運用保守サービス/スポット運用リモートサービスがあり、アフターフォローも充実しています。
自動化に関することは何でもサポートできますので、本日を機会にぜひご承知いただけますと幸いです。
システム運用自動化のすゝめ方
続いてシステム運用自動化のすゝめ方についてご説明させていただきます。
こんな話を聞いたことはありませんか?自動化してみたのに思っていたほど効果が出なかった。自動化してほしいところはここじゃない。
エラーばかりで結局手動で対応している。導入したツールの使い勝手が悪い。
このように、自動化してみたが思っていたものと違うといったお話をお聞きすることは多いです。
システム運用の自動化でこのように後悔しないために重要になってくるのは「すゝめ方」になります。
ここでは弊社で行っている自動化コンサルティングの「すゝめ方」をご紹介させていただきます。
自動化コンサルティング
まずはじめに弊社の自動化コンサルティングの概要をご紹介します。
弊社の自動化コンサルティングでは、最初にお客様の業務のインプット資料をご用意いただくところからスタートします。
もしお客様の業務がブラックボックス化されており、そういった資料がない場合には、弊社がインプット資料の作成をご支援させていただいております。
コンサルティングの実施の部分にありますように、自動化のプロセスはステップ1からステップ5に分けることができます。
ステップ1で、お客様とターゲットの設定のすり合わせを実施いたします。
ステップ2で、インプット資料と実際の業務を確認させていただき、現状把握として業務の可視化を行います。
ステップ3で、可視化した資料から課題を抽出します。
ステップ4で、抽出した課題に対し、改善案の立案を行い評価します。
ステップ5で、自動化の箇所、ツールを選定し最終的に自動化の提案をします。
各ステップのポイントについてご説明させていただきます。
ステップ1「ターゲットの設定」
ステップ1「ターゲットの設定」です。
ここでは自動化のターゲットを選定し、どこを自動化していくのかを明確にしていきます。 ここでポイントとなるのはどの業務を一番自動化することで組織にとって最大の価値や効果を期待できるのか、といった考えを持って対象業務の絞り込みを行います。
この時、すべての業務を対象としないということも重要となってきます。
また自動化の目標とその効果結果を評価するために測定基準を定義していきます。
測定基準を定義することで改善結果を評価することが可能になり、改善効果を実感できたり、振り返りをしやすくなります。
なお目標値の設定には「SMART」を活用すると良いかと考えます。
ステップ2「業務可視化」
次にステップ2「業務可視化」です。
ステップ1で選定した業務の現状を把握し、可視化をしていきます。
通常作業頻度や作業時間など一目で分かるように可視化されていることは少ないのではないでしょうか。
しかし、自動化を成功させるには業務を可視化することが非常に重要です。
業務によっては属人化しており、手順書だと文書化されていない、ある一部の担当者だけが知っているといった業務もあるのではないでしょうか。
そういった業務を含め可視化することで、自動化する部分はここじゃなかった、といった後悔を未然に防ぐことができます。また業務も見える化を通して業務全体を把握でき、業務プロセス全体の最適化に向けた改善につなげている企業様もたくさん存在しています。
業務の可視化は自動化以外にも様々な効果をもたらしてくれる大切な作業となります。
具体的な手順についてご説明します。
可視化を行う際には、対象業務のインプット情報が必要となります。また実際の作業を現場に出向いて確認することも重要な要素です。
具体的なインプット情報としては、作業項目一覧、作業時間、作業手順書、作業フローなどが挙げられます。
作業項目一覧及び作業稼働時間は、効果測定の試算に必要になります。
作業手順書は自動化の箇所の選定に必要になり、作業フローは自動化に伴う営業範囲の把握と、業務プロセスの見直しに役に立ちます。
業務可視化は資料と実際の業務を通して、一覧にまとめながら対象業務の可視化をしっかりと行っていきましょう。
ステップ3「課題抽出」
次にステップ3「課題抽出」です。
現状とあるべき姿を比較し、課題を明確化していきます。
具体的には可視化した業務一覧のそれぞれの作業項目に対して問題点を整理し、あるべき姿を検討比較することで課題を明確化していきます。
ステップ4「改善案の立案選定」
続いてステップ4「改善案の立案選定」です。
課題解決のために業務にあった改善案を選定していきます。
ここでは改善の4原則である「ECRS」の視点を踏まえ改善案を検討していきます。
E:排除
C:結合と分離
R:入替えと代替え
S:簡素化
この視点を持って対策を検討することで自動化対象から不要な作業を排除でき、開発する際のコスト削減にも役立ちます。
効果の期待ができないものまで自動化しようとすると期間もコストもかかるため、すべてを自動化に頼らないことも重要となります。
次に立案した改善案を「QCD」の観点で様々な角度から評価していきます。
これにより自動化対象が明確となり、立案した改善案に対して問題がないことを再確認できたり、技術的に可能でも「QCD」の観点から不要な自動化を排除することもできます。
このような過程を経て、最も自動化に適している対象を絞り込んでいきます。
ステップ5「自動化箇所・ツール選定」
続いてステップ5”自動化箇所・ツール選定”です。
ここでは最終的に自動化の箇所とツール選定をしていきます。世の中にはたくさんの自動化ツールが存在し、その特徴も様々です。
販売されているパッケージを利用するのか、新しく専用ツールを開発するのか等、機能面運用面などを考慮し比較検討していきましょう。
こちらの図ではデータ投入作業の項目を細分化し、それぞれの自動化の検討を行っている例です。
弊社では経験豊富なコンサルタントが対象作業の手順やフローを確認し、作業項目を細分化、作業の特性ツールの特徴を考慮した上で自動化する作業の選定を行っております。
開発コストや導入期間も考慮し、自動化の対象範囲を一部に絞ることも選択肢の一つに入れ、最終的なご提案をしています。
自動化ツールの選定では業務に合ったツールを選べないとエラーが頻発したり、使いにくいといったことが起こりますので、場合によっては専門家に相談することも検討してよいかもしれません。
以上はシステム運用の自動化の進め方についてご説明させていただきましたが、最後にまとめとしてポイントをおさらいしたいと思います。
自動化で後悔しないポイントまとめ
ポイント1:目的/ターゲットを明確にし、測定基準を設定するようにしましょう。
ポイント2:業務の可視化分析、業務を見える化しギャップ分析を行い課題を明確化していきましょう。
ステップ3:改善案の立案評価、改善案を立案しQCDの観点を用いて評価していきましょう。
ステップ4:最適な自動化ツールの選定、機能面運用面などを考慮して自動化ツールの選定をしていきましょう。 場合によっては専門家に相談することも一つの手段となります。
最後に、すべての自動化を解決しようとしないことも重要となってきます。
自動化を実現するには時間も労力もかかりますので、モチベーションの維持が大切です。
自動化の範囲を検討し限定し、自動化の効果を実感できるようにスモールスタートで進めることも成功の秘訣となります。
以上がシステム運用自動化のすゝめ方になります。
導入事例
続いて、自動化事例のご紹介をさせていただきます。
今回ご紹介させていただく自動化事例は、弊社でご支援させていただきましたアドラーソーラーワークス様の自動化事例です。
アドラーソーラーワークス様は太陽光発電所のオペレーション&メンテナンス、TDD及びコンサルティングサービス等の事業を展開されている企業です。
アドラーソーラーワークス様では太陽光発電所のオーナー様からの依頼を受けて発電所の保守管理業務の一環として、遠隔監視業務をご提供されていますが、業務拡大に伴い作業量や品質面での問題を感じていらっしゃいました。
課題の解決のために、運用の自動化を弊社にご相談いただいています。
今回の自動化のターゲットは、遠隔監視業務を対象としています。
自動化前の主な問題点としては監視ソフトには複数のメーカーがあることでした。通知メール等の使用が発電所によって異なっており確認箇所も操作手順もメーカーによって違うため、作業者の負担が大きい業務となっていました。
また、判断が人も目視のため、異常の見逃しや品質にばらつきが出る可能性もありました。
100件以上の管理業務があり、今後もニーズの拡大により作業量が増えると現状の運用方法では回らなくなる可能性がある等、作業の手順や品質、稼働面での問題を抱えていらっしゃいました。
導入したサービスについて
今回弊社で問題解決のためにご提供したソリューションとしては、「SDT×kompira」と「One Cockpit」を用いまして自動化システムを構築しております。
SDT×Kompiraはフィックスポイント社が開発した連携処理基盤ソフトウェアのKompiraと、弊社の運用ノウハウを融合したソリューションになっています。主にKompira Enterpriseを用いて開発しています。
One Cockpitは弊社の独自のツールであり、ダッシュボード機能やレポーティング機能、エラーの復旧処理を自動化をする総合運用管理ツールとなっています。
こちらは今回の構成イメージになります。SDT×Kompiraを自動化のエンジンとして監視ソフトやOne Cockpitを連携することで自動化を実現しています。具体的にはAPI等の技術を使ってデータの取得等を行っています。
主な開発概要ですが、SDT×Kompiraは発電所ごとに異なるソフトの仕様に対し、データの収集や異常値のチェックを自動化しております。人の目による見落としを防止し、品質の安定化に貢献しています。
またメール通知で対処漏れを防止したり、監視データの蓄積、ダッシュボードの連携の役割を担っています。
One Cockpitでは、定時にウェブサイトにログインし監視するという作業をダッシュボードで一覧化し、稼働削減に貢献しています。
さらに各社手動で実行する際にもそれぞれのサイトからではなく、一つの画面から行えるようにすることで操作の簡易性を向上させています。
自動化のポイント
今回の自動化のポイント1つ目として、SDT×Kompiraでソフトウェアのコンソールも必要な情報を自動で取得しています。
Kompiraの特徴、柔軟性を生かして既存のソフトは変更することなく業務の自動化を実現しています。
自動化のポイント2つ目として、One Cockpitでソフトごとのログインを不要とし1つのログインで全てのソフトを一括で監視しています。
それぞれの操作をダッシュボードで一つに統合している形になります。
ポイント3つ目として、メール通知で作業漏れを防止しています。
監視だけでなく監視後のレポート業務についても次期開発にて対応予定となっています。
最後に
自動化後のお客様の声ですが、今回かなりお褒めの言葉をいただくことができています。
今後についても追加の開発等の依頼をいただいておりますので、これからもお客様により一層ご満足いただけるよう取り組んでまいりたいと思っています。
弊社ではアドラーソーラーワックス様の事例の他にも、Kompiraと複数の自動化ツールを連携させたシステム運用の自動化を実現しております。
弊社の基本的価値観の一つに「傍(はた)」を楽にすると書いて傍楽というものがあります。
自分の周りの人々に楽になってもらうために、楽しくなってもらうために働くという意味でして、これらを我々は常に意識し活動しております。
今後もKompiraやその他の自動化ツールを融合させ、連携先の拡充やお客様の使用しやすいシステム運用自動化のソリューションを提供し、自動化を通して『傍楽』を実現していきたいと考えております。
ご静聴ありがとうございました。